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7月12日、渋谷区立商工会館にて、竹花豊・東京都副知事による講演会を開催しました。竹花氏は「千客万来のまち 渋谷のために 〜安全・安心のまちづくりの視点から〜」というテーマで講演し、会場には当初の見込みを大幅に超える約300人が集まりました。

【講演概要】

 私には、渋谷という街を、世界に類を見ない商業的にも発展した街であるにも拘らず、行ったらホッとできる街にして欲しい、という思いがあります。日本の大都市と言われているところは、みんな画一的です。どこへ行っても一緒で、落ち着かない街です。街全体から街の強い意思が感じられる、そういう街にして欲しい。そういう街はどういう街なのか、皆さんに考えてもらえたらと思います。

 東京都に参りまして2年ちょっとになります。私の任務は、東京の治安を回復することです。様々な取り組みの結果、都内の治安は大きく改善しています。例えば、今年の5月は去年と比較して、強盗は9.8%の減少、ひったくりは26.8%の減少、侵入窃盗は25.9%の減少です。外国人組織犯罪の特有の手口である、ピッキング、サムターン回しは、一昨年から昨年に比べてほぼ半減しており、今年もその傾向が続いています。

 新宿・歌舞伎町の状況も大きく変わってきました。歌舞伎町は、違法な風俗営業を摘発すると、店名を変え、営業を継続するという状況でした。このような違法な風俗営業は、ビルのオーナーが違法なことをやらせなければ防げるのです。中には違法な風俗営業を助けて、ビルオーナーが大変な利益を得ているという状況もありました。そこで、警視庁は、悪質なビルオーナーを、違法な風俗営業への補助犯として数件検挙しました。違法な風俗営業を排除するため、新しい方策をとったのです。
 また、街をきれいにしようという動きを起こしました。掃除を専門的にやっているボランティア団体にお願いをして、月に1回掃除を始めました。地区外の人が来て掃除をする訳ですから、歌舞伎町の人も黙っていられません。その結果、週に1回、クリーン作戦を実施することになりました。
 皆それぞれが今の状況はおかしい、何とかしなければと思っていても、自分たちだけでは何ともならなかったと思います。警察、区、都もそうです。個々であきらめていた問題も、力を合わせればうまくいくのではないかと思います。
 また、新しいまちづくりのビジョン、こんなまちづくりをしようという長期的な動きなどが、歌舞伎町の再生に力を与えたのではないかと思います。

 渋谷のまちづくりは、安全・安心のまちづくりの観点から、「渋谷の街にある安全・安心を阻害する諸要素をなくしていく取り組み」と、「渋谷の街をこんな街にしようという将来ビジョンや、みんながそれをやるのだという思いを多くの人が共有できるか」にかかっていると思います。
 まず「法令がしっかり遵守される街である」というイメージをしっかりと創りあげることが必要だと思います。秩序のある街であり、駐車も駐輪も厳しく、路上の置き看板に対しても厳しく、屋外の広告物、風俗営業についても法令が厳しいというイメージをしっかり創ることが大事だと思います。
 安全なまちづくりの強い意思を示す中核を担うのは、街で土地・建物を所有する人、また街で活動する人であると思います。街全体が訪れる人を大事にしようとする気概が、来街者に伝わるようになって欲しいと思います。袖看板、置き看板を無くすだけでも、全国の繁華街にない街になる。また渋谷の残念なところは、うるさい街であること。拡声器を使った宣伝などはやかましく、聞きたくない。そうした耳障りな音をなくすことも大事だと思います。

 また、まちづくりの一つの方法として、街に大きなイメージをつける方法があるのではないでしょうか。例えば、花がある街、昼間から23時まで勝負する街、ウィンドーショッピングを楽しめる街、ウィーンのような洒落た装飾をあちこちで見られる街、大きな時計台のようなお客さんを迎えるシンボルがある街、個々の音楽施設が連動する音楽週間がある街、といったものです。

 千客万来の街にするためには、私権を少し抑えて街のために尽くし、その結果、来街者が増えて儲かる、という発想が必要です。「個々の店(人)が自分のことだけを考えないこと」、今の日本の繁華街のターニングポイントはその一点に尽きるのではないでしょうか。そのためには、ビルオーナー、土地所有者の方々は、そういったことに本気になって実践し、またテナントに対して働きかけていくことが必要です。
 また、渋谷の歩道は狭すぎると思う。歩こうとしても肩を触れながら歩いており、これでは客を迎える街では絶対ない。歩道をどうやって拡充するのかといった問題に対しては、思い切った投資をしなければいけないのではないでしょうか。

 渋谷という街を、個々の営利を少なくして、訪れる人が中心の街と印象付けることが、他にない都市にするための欠かせないコンセプトだと思います。
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