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2007年12月12日、ケアコミュニティ美竹の丘・多目的ホールにて、山崎登氏(NHK解説委員)による講演会を開催しました。山崎氏は「首都圏直下地震〜民間事業者の対応と帰宅困難者問題」というテーマで講演し、会場には約200人が集まりました。


【講演概要】

 私はこの20年、大きな災害が起きた際、日本のみならず時には海外にもその現場を訪れ、様々な関係者への取材から、被害を最小限に食い止める方法を調べてきました。


 研究者の間では首都圏でマグニチュード7レベルの地震が何時起きてもおかしくないとの認識がされていますが、大都市東京で大地震が起きたときには、大きな被害が予測され、首都圏でM7.3クラスの大地震が起きた際の死傷者は1万1千人、負傷者は21万人、避難者は460万人、帰宅困難者は650万人、建物全壊は85万棟、経済損失は112兆円に上ると想定されています。阪神淡路大震災の場合、避難者が32万人であったことを考えると東京での被害がいかに膨大か、想像できます。大地震で亡くなられる人の90%近くが建物崩壊による圧死であると想定され、全壊する建物のほとんどが新耐震基準導入前の昭和56年以前に建てられものになります。


 阪神淡路大震災の取材で、印象的だった話があります。避難所で一番困ることの一つとして、水不足によるトイレの問題があげられます。私が取材した人々の中に、関東大震災を経験したおばあちゃんの話をきいていて、お風呂のお湯を捨てないでとっておく習慣をもった家庭がありました。彼らは、断水されていても、お風呂の水をとっておいただけで、トイレの問題をクリアしたわけです。また、釧路地震では、真夜中に地震が起きたため割れたガラスで足を怪我する人が多かったのですが、あるおばあちゃんは枕元に懐中電灯を用意していたため、割れたガラスに気付いて、スリッパを履いて行動したのでけががなかったという話もありました。このように小さなことでも個人個人で対応・準備しておくことがなによりも大切であるといえるわけです。もちろん、企業、自治体などでもそれぞれができる準備をしておくことが大切です。けが人を減らすとその分救助する側の人数が増えるということを考えると、まずはけがを防ぐことがとても大事なのです。


 最近は技術の進歩によって、緊急地震速報という仕組みが出来上がっていています。
 これは地震が起きた際に揺れが伝わる数秒前から数十秒前に警報が鳴るというものですが、中越沖地震では直前の警報で、被害を小さくしたという実例が報告されています。12月になってNTTドコモもこのサービスを始めましたが、今後は警告を受けてから実際に揺れるまでの短時間の間に何ができるのかを考えていく必要があります。


 日本には地震を引き起こす可能性のある活断層が2000箇所あるといわれていますが、これ以外にも地震を引き起こす未知の活断層は沢山あるとされています。私たちは何時どこで地震が起きてもおかしくないという状況の中で、常に準備をしておく必要があるわけです。個人個人だけでなく、地域の防災訓練などを通じて横のつながりをつくっていくことも必要です。防災対策は、企業、自治体にとって後回しになりがちなテーマですが、、それは単に危機管理対策という枠を超えて、それぞれの企業、自治体の社会に対する「姿勢」や「志の高さ」が表れる大変重要なことであると、私は考えます。


 今後も災害の取材を通して、少しでも被害を減らすための方法や対策を研究し、安全な社会を築くことに貢献して参りたいとおもいます。
 本日は有難うございました。

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